2025年もすでに初夏。草木も山も初々しい緑が広ってきました。
なかなか更新できずにいましたが(反省!)店舗併用住宅の改修検討、設計協力をさせていただいている新築建物の設計検討など、幅広く携わさせていただいておりました。
その中の一つ。協働しているハウスグラスが設計している新築住宅について、耐震等級2の構造検討をおこなっています。
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耐震等級2の検討では建物の重さを具体的に出してから必要な耐力を導きます。
「建物自体の重さ+建物に載る物の重さ+雪の重さ」
この合計が多いほど地震時にかかる力は大きくなっていきます。
気になるのは何はともあれ、雪。
同じ形状の建物でも、雪の少ない「函館地方」や「日高地方」、豪雪の「ニセコ周辺」とを比較すると必要な耐力に大きな違いが出てくるのです。
建築では雪の量は市町村ごとに決まっている「垂直積雪量」という基準で見ますが、北海道で垂直積雪量が一番多いのは幌加内町の250cm。
函館方面や日高方面では70cmあたり、ニセコ周辺は230cm、札幌市は140cm。
ニセコ周辺と函館方面では実に160cmもの差。人一人分くらい違うわけです。
フワッフワなかき氷みたいな雪ではなく、降り積もって溜まった密密な雪を想定した重さで換算すると、1㎡あたりの重さにすると490kgほど違ってきます。
こんなに違いがあるだなんて北海道って本当に面白い地域です。
数か月後には札幌市にある自宅兼事務所の屋根にも山のように雪がたっぷりと。

しかし、耐えるために闇雲にどこでも壁の量を増やすことはしません。
必要な耐力を確保しながらバランスよく配置することを私は意識しています。
建物の重さと硬さの中心が近い状態になるように。
例えば、子供の抱っこ。子供を片腕で抱っこしてお腹に力を入れて足で踏ん張っていたとしても、子供を両手で胸の前で抱っこしたほうがグラつきを少なく感じませんか。
同じように耐えるにしても、左右で重さや力の入れ具合がアンバランスなのと、左右バランス良い状態では後者の方が安定感があるはず。
いや、子供を抱っこじゃなくても、お米でも重いキャンプ幕でもなんでも良いです笑、なんとなくそういう感覚はあるのではないでしょうか。
その状態で不意に地震という名のタックルされるかもしれないわけです、バランスが良いに越したことはありません。
構造計算中は我が子のようにその建物に向かい合います。
健康的に、長く安心して使われていてほしいと願いながら。
初夏になり雪とは真逆の季節ですが、雪と数字と向き合っています。