この8月から始まった栗山町の店舗兼用住宅は、既存の店舗兼用住宅を改修する計画でスタートされました。

改修工事ですので既存の元の形がある分、施主さんも部屋の大きさはイメージしやすいものですね。

ただ、今回は1階店舗の部分については既存天井を外して2階の床組を表しにしたり、厨房と客席を分ける壁を新設したりと、元の空間とは異なる雰囲気にすることに。

図面上で部屋の広さは確認し合いながらも立体的なイメージを共有するためには、私はスケッチを描くようにしています。

細かな描写で繊細に描くものではなく、高さや素材の切り替えを確認しながら全体像や印象をとらえるためのスケッチです。

物理的な説明の意味合いももちろんあります。

でも、細かな描写で表現されていることが全てを伝えることでも無い気がしていて、人の目で見る情報は、意外と選別されて印象として伝わるとも思っています。

話が少し飛んでしましますが、アニメーションの表現においては、写実的な動作の表現ではなくその場面をより伝わるように体の動きや表情によりフォーカスして誇張して表現されてるとも。

私はそれが人の面白いところで、相手に何かを伝える意味を思い描いたりもします。

それに、施主さんにしてもやはり不安に思うこともありますよね。

平面図や展開図といった図面をもとに言葉で説明を受けていたとしても、本当に自分が想像していることがこの建築士の頭の中で考えていることと同じなんだろうかと。

希望も伝わっているのだろうかと。

それを確認しあうのに最適なのが手書きスケッチだと私は思っています。

施主さんと同じ方向を確認しながら新しい暮らしを共に作っていく過程で、手書きスケッチが担う役割は大きい。

上手なわけでは決してありませんが(笑)、でも空間のイメージを共有できたときは本当に嬉しいものです。

きっと設計者だけではなく施主さんにとってもその先を見る喜びになっていると信じつつ。

伝え共有して、共に進んでいきたいと思い、普段設計を行っています。